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【日経新聞】脱化石燃料へ株売り圧力

 世界的に異常気象が相次ぐなか、気候変動リスクの回避へ投資マネーが動き出した。化石燃料などに関連する企業の株式や債券を売却すると決めた投資家は世界で900超、資産規模は約700兆円にのぼる。融資を停止する動きも広がっている。気候変動を助長する事業を手掛ける企業は、規制などの関係で業績悪化の可能性がある。そうした企業を避けると同時に、市場の圧力で事業転換を促していく狙いもある。

 環境の観点から保有する株式などを売却することを「ダイベストメント(Divestment=投資撤退)」と呼ぶ。環境負荷の高い企業を「買わない」だけでなく、積極的に「売り切る」ところまで踏み込む新しい判断だ。

 アイルランド議会は2018年7月、「化石燃料ダイベストメント法」を可決。政府系ファンドが石炭や石油など化石燃料企業に関連する資産を5年以内にすべて売却すると決めた。対象は17年6月時点で約150社、残高は3.2億ユーロ(約400億円)で運用総額の3.6%に相当する。

 米ニューヨーク市の年金基金も18年1月、化石燃料企業からの投資撤退を決めた。米エクソンモービルやシェブロンなど約190社、50億ドルが売却の候補となる。日本企業も例外ではなく、中国電力や北陸電力など電力6社の株式をノルウェーの公的年金が売却した。石炭火力発電の比率が比較的高いためだ。

 環境団体ダイベストインベストによると、環境負荷の高い企業からの投資撤退を表明した世界の投資家は18年8月時点では900超と過去5年で7倍強に増加。運用資産は合計6.3兆ドル(約700兆円)にのぼり、エネルギー関連企業の保有比率などを考慮すると、2~3%程度(15兆~20兆円程度)が実際に売却される可能性がある。

 異常気象や自然災害が世界で多発するなか、気候変動が経済成長を下押ししかねないとの懸念が投資家の間で強まっていることが背景にある。環境負荷の高い企業は将来の規制強化による業績悪化も懸念されている。

 融資を凍結する動きも相次ぐ。欧州金融大手の仏BNPパリバやオランダのINGなどが17年中に採炭や石炭火力発電への新規融資の停止を決定。日本でも18年に入り、三井住友信託銀行が石炭火力発電事業向け融資を国内外で原則やめる方針を打ち出している。

 市場や企業活動への影響は強まっている。世界の株式相場は14年末比で約25%上昇した一方、エネルギー関連株は小幅安と低迷する。米エクソンモービル株は同期間に1割強下落した。

 ダイベストメントには「気候変動リスクにつながる産業を縮小させる狙いもある」(日本総研の足達英一郎理事)。こうした影響もあり、米ゼネラル・エレクトリック(GE)は火力発電を含む産業用ガスエンジン事業の売却を決定。英豪資源大手のリオ・ティントも石炭事業から撤退した。

 「(市場の圧力による)事業転換は続く」(環境関連投資に詳しいニューラルの夫馬賢治社長)とされ、再生エネルギーなどへの参入が活発化しそうだ。一方、安価なエネルギーを必要とする新興国などにとって石炭・石油産業は不可欠といえ、関連企業の株価が過度に割安になる場面では一定の買いが入る可能性がある。

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