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【日経新聞】欧州で脱石炭加速 火力大国の変心 (グローバルViews)

フランクフルト 深尾幸生
欧州で石炭火力発電所の運転終了に向けた動きが加速している。オランダやフィンランドは廃止時期を前倒ししたほか、石炭火力に大きく依存するドイツが脱石炭に向けた委員会を立ち上げた。ドイツと並ぶ石炭大国ポーランドでも風向きが変わり始めた。雇用対策やエネルギーの安定確保などそれぞれの事情を抱えつつ、二酸化炭素(CO2)の排出削減目標の達成に突き進む。

26日、独政府が設置したある委員会が初めての会合を開いた。委員会の名称は「成長・構造変化・雇用に関する委員会」。漠然とした名前だが、通称の「石炭委員会」が実態を表す。

廃止最終案、18年末までに

 政府は6日の閣議でこの委員会の設置を正式に決めた。閣議後にシュルツェ環境大臣は「どのように脱石炭を実現するのか示し、廃止の期限を決めなければならない」と言い切った。委員会に託されたのは石炭火力発電所の廃止時期を含めた最終案を2018年末までにまとめることだ。
 石炭火力を廃止する理由は明確だ。化石燃料のなかで石炭は地球温暖化の原因となるCO2排出が最も多い。そして石炭火力はドイツの約4割を占める最大の電力供給源となっている。ドイツはCO2排出を1990年比で2020年に40%、30年に55%削減する長期目標を掲げる。17年時点で削減量は3割弱にとどまり20年目標の達成は難しい。石炭火力の縮小は待ったなしの情勢だ。

 そもそも脱石炭に向けた委員会をつくる考えは16年にまとめた「気候行動計画2050」に盛り込まれていた。しかし英国やフランスがいち早く脱石炭を宣言したのに対し、ドイツでは委員会の設置すら難航した。

 ドイツが脱石炭を簡単に宣言できない固有の事情が2つある。1つは脱原発だ。ドイツは11年の福島第1原発の事故を受け、22年までの原発廃止を決めた。原発に加え、石炭火力を廃止すれば、事実上、ガス火力と再生可能エネルギーだけになってしまう。再エネは天候による発電量の変動が大きいため、電力の安定供給が脅かされると産業界を中心に反発が強かった。

 もう1つは「褐炭」の存在だ。褐炭とは水分や不純物が多い低品位の石炭で、ドイツに豊富に存在する。露天掘りで安く採掘できるため旧東独のブランデンブルク州やザクセン州、西部のノルトライン・ウェストファーレン州で主要産業となってきた。約2万人が褐炭産業に関わり、約7万人が関連する職業に就くとされる。委員会ではまず10月までにこうした地域での雇用対策や新産業の創出策をまとめる。

 31人の委員会メンバーは炭鉱を抱える州や企業、労働組合、学者、環境団体などからバランスに配慮して選ばれた。利害関係は入り組んでおり議論が紛糾してまとまらないリスクもある。それでも世界第4の経済大国が脱石炭に動き出した意味は大きい。

 

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